海外で和食の店を開くのが私の夢
私はウサギから生まれたと思っていた
聞き手
いつ養子であることを知った?
まり
それは5歳ぐらいの時ですかね。
全部は覚えてないけど、母から聞くのは「お母さんから生まれたのでなかったら、私はウサギから生まれてきた…」とわけのわからないことを言ってたみたい。
小学校ぐらいから少しづつわかるようになったかな。
聞き手
生命の授業が始まるころかな?
まり
それまでは、ディズニーのダンボの世界だった。
コウノトリが赤ちゃんを落としていくみたいな。
幼稚園ぐらいはそういう感覚だった。
小学校2、3、4年になってくると「なるほどな」ってわかってくる。
聞き手
一つ一つ親に尋ねるのではなく、社会で生活している中でわかってくるというような感じかな。
まり
テレビで徳光さんが司会していた「親さがし」の番組なども見ていたし、テレビ番組を見ることについては家では制限がなかった。
小学生の時から深夜の音楽番組も見ていた。
でも一回ふと不思議に思って「なぜ両親は私たちを引き取ろうと思ったのだろう、なぜ親はそこに思い至ったのだろう」と思って理由を聞いたときに、お母さんが泣いちゃったんです。
その時にそれは聞いたらあかんのやって思った。
大人になってからは私たちを引き取った理由を聞きました。
養子の仲間は親戚みたい
聞き手
学校で同じ立場の養子の仲間はどう思っていた?
他の養親家庭とは家族ぐるみのお付き合いしてたでしょ?
まり
そうですね。感覚としては身内みたい。
Tくんはお兄ちゃんで、HちゃんやAちゃんはお姉ちゃんみたいな感じやし。
遠い親戚みたいな感じかな。
聞き手
そのことはどう思っている?
ふつうの友人というよりちょっと特別な感じがする。
まり
良いことだと思います。同じような境遇の人が近くにいて、家族ぐるみで遊んだりとか。
うちの母親が中心になってこういう機会を作っていたと思う。
里親さん同士で遊びに行ったり旅行に行ったりしていた。
私はこの家にいて恵まれているなと思う。
仲良しのファミリーで遊びに行っているという感じ。
でもそういう時に自分の話や親の話はしない。両親とお兄ちゃんとしかしないですね。
聞き手
お兄ちゃんも同じ養子である立場というのは、いつ理解したの?
まり
たぶん同じときですね。
聞き手
ウサギから生まれたという時かな。その時親はお兄ちゃんのことも話してくれたの?
まり
おそらく同時に言われたのかなと思う。