海外で和食の店を開くのが私の夢


「何をしても大丈夫」という安心感が一番

聞き手
お母さんは協会主催の講座や研修で体験をとても上手に話をしてくれている。

まり
母親はすごく緊張すると言ってます。

聞き手
お母さんは講座で話をする時、TVで放送されたドラマ「ぶどうの木」の話をしている。
ティッシュ置いて何度も見ているみたい。

まり
正直、山P(タレントの山下智久)が好きだったから(笑)そうなんですけど。

内容がダイレクトに共感できるというか、わかるというか、心情や家族像がリアルだなと思った。
自分が考えたり感じてることとみているような気がする。

聞き手
あれを観て里親になったという人も結構いるからね。

まり
今観たら親の立場で観るかもしれない。前は子どもの立場で観ていたけど。

聞き手
お母さんが講座で体験を話するときに、あなたからの講座の参加者へのメッセージを伝えてくれてるでしょ?

まり
思いつくことをぽろぽろと母に話しています。あんまり覚えていないけど、

「血のつながりよりも気持ちと愛情」
「DNAより愛情」

みたいなことを伝えたのは覚えてます。

聞き手
どういうことかな?

まり
ニュースとかテレビとかで実の子どもを殺したり実の親を殺したりというニュースが多いじゃないですか。

親子の中でズレが生じて最悪の結果になるという感じ。
親子が向き合う機会が減ってるというか。

コミュニケーションがとれていなくて、わだかまりみたいなものが積もっていくんだろうなと思う。

そう考えたら、虐待は血とかでなく人と人との気持ちの問題かなと。

聞き手
「その子を愛しいと思えたらそれが我が子」とも言っていたね。

まり
子どもを育てるにあたって愛情って欠かせないと思う。

ただ一緒に住んでるだけでなくて、小さい子どもがわからないながらに母親の愛情を感じることが人間の最初としては重要なことなんだろうな、その後を左右するもんだろうなと思ってね。

小、中学校でも荒れてる子はたいてい親がほったらかしてる子が多い。
親が勝手なことして子どもの面倒をみていないというか。

聞き手
愛着関係ができてないという感じ?

まり
そうですね。それで精神的に不安定になってどんどんダメな方向に行く。
私は愛情を注いでもらっている。溢れんばかりの!って感じですね。

聞き手
どんなときに愛情をもって考えてくれてるんだなって感じる?

まり
目に見えてわかるというよりも、気持ち的に家が一番落ち着くというか、安心感がある。

この人は何を言っても何をしても理解して受け入れてくれるだろうという安心感かな。

中学生ぐらいの反抗期のとき、川べりでひとりでぼーっとしていたら、母親が自転車で探しに来てたことがあった。
母はその時は怒っていなくて、泣きそうだった。

その顔をみたときに、「この人のことを心配させたらあかんな」って思った。

自分の子育てには養子もあり

聞き手
これから留学してどうしようと思ってるの?

まり
留学して外国で働きたい。ワーキングホリディで働こうと思っている。家を初めて離れて生活します。

聞き手
あんまり心配していない?

まり
何とかなるかなーって思ってる。

聞き手
お母さんは、「何でも挑戦して若い時にいろんなことをやってみたら?」という感じよね?

まり
そうですね。お父さんもですね。就職はしてほしかったとは思うけど、ああしろ、こうしろみたいなことは一切言わずに、「やるからにはがんばれよ」みたいな感じです。

聞き手
しばらくは経済的には援助をしてもらえるの?

まり
はい(笑)食に興味があるので、日本食をやっているようなところで働けたらいいかなって思ってる。

イギリスってご飯が美味しくないじゃないですか。
日本食はとてもおいしい。

向こうの人にも美味しいご飯を知ってもらいたいから、向こうでちっちゃいお店でもできたらいいなあとお母さんと話している。

聞き手
料理をするの?

まり
好きなのでね。食べるのが。自分の食べたいものを作るって感じなんですけど。

聞き手
これから結婚する可能性もあるし、家族を持つっていう可能性もあるだろうけど、家族を持つとして、「これを大事にしよう」とか思っていることある?

まり
両親が理想なので、そういう人を見つけて自分が育った家族みたいな家族にできたらいいなと思います。

聞き手
協会に何か助言できることはありますか?

まり
ここの仕事はすごい仕事だなって思います。

今からいろんな思いがあって子どもを育てていこうとする親と、いろんな事情がある子供をつなぐすごい場所だなと思います。

大学の友達と里親や養子の話をしますね。
私の友達がもう子どもを産める身体ではないと医者から言われたんです。

今後結婚するにあたって自分にとってマイナスな方向に考えたとき、「いろんな家庭があるから、そんなに深刻に悩まんでもいいよ」って話したんです。

もちろん、私のことも知っててね。

「いろんな家族や親子の形があるから、そんなめげんでいいで!」っていいました。

私はもし、自分がそうなったとしてもマイナス思考にならずにいけると思う。

聞き手
もし自分が子どもを育てたいと思ったら養子もありかな?って思う?

まり
もちろん思います!

聞き手
養子縁組して30代になった方が協会に来られた。

自分のことを知りたいと思って訪ねてこられた方が「もう一度生まれてきたら、あそこの家で大きくなりたい、家族になりたい」って話された。

「またこの協会で私はお世話になった」とも言われた。
そういうことを言葉に出せる人もいる。

まり
それはすごいことですね。


(はーもにい第117号より)