ライフストーリーワークをシェアするということ

【私たちが出会う、子どもの気持ちを知る機会】
ケースワーカーからのお話
何事にも言えることなのでしょうが、「当事者の声を聴きたい」というリクエストはよくあります。
里親制度にかかわる研修会等でも同様です。
理解を深めるためには「実際の話を聴きたい」ということで里親の体験発表はよくとられる方法です。
その次に「里親や養親家庭で育った子どもの声を聴きたい」という希望もあります。
協会のように長年里親活動に携わっていると、かつて里親家庭で生活していた子どもや養子と成長したのちもつながりがあり、それぞれの成長段階での声を聴くチャンスがあります。
その声を大切に受け止めて、機会があれば「当事者の声」として発信もしてきました。
自分のライフストーリーを語ったあとで、イヤな思いにならないよう当事者の安心を得られる配慮をしてきています。
このことで私は心に留めていることがあります。
20年余り前のことです。
私たちが依頼し、セッティングしたものではなかったのですが、里親家庭の子どものインタビューや生活の様子がニュースドキュメントとしてテレビに放映されました。
前向きで賢い高校生の姿がテレビ映像に流れました。
その後、どれくらい後だったか覚えていませんが、彼が映像に紹介された自分にしばられ生きていくことに苦しむことになっているようだということを知りました。
特に思春期の多感さ、変化していく時期を思うと、慎重に取り組む必要があることを学びました。
ある会合で 故坂本和子さん(アン基金プロジェクト)から
「何度かマスコミに取り上げられたあるユースが苦しんでいるのだがどうしたらいいのだろうか」
という話を聞かされました。
私は前述の少年のことを心に留めていたので、
変わっていくものが人間。
その時話した自分にとらわれず、今の自分、これからの自分を生きていくのが大切
ということを話してあげることが必要ではないか…と語り合ったことを覚えています。