子どもの背景を理解し長い目で成長を見守る
【結果を急がず、ゆっくりと】
ケースワーカーからのお話
子どもが持つ様々な背景
私たちは里親に養育をお願いするにあたり、子どもとの生活をイメージしてもらい、里親が戸惑うことが少ないように面接を重ねます。
そのなかで赤ちゃん返りや試し行動など、子どもが家庭で示す様子やその対応方法など里親に知っていただいた方が良いことを伝えています。
家庭生活の経験があるか、生後すぐに施設に入り、施設での生活が長いのかによっても、子どもの示す様子は違います。
しかし、どの子どもにも言えることは、養育者、住居、地域、学校など様々な環境の変化を経験しているということです。
特に小学生以上になるとそれまでの生活で培われた感覚や習慣を変えていくことが求められるため、里親家庭の生活に慣れるのには時間がかかります。
親子関係に変化が
幼い時から施設で暮らしてきたAさんは、小学5年生の時に養育里親と暮らし始めて2年が経ちます。
親子関係を築いている最中ではありますが、少しずつ変化がみられるようになりました。
1つ目は、Aさんが一人の時間を過ごせるようになったことです。
里親宅で暮らし始めた当初、Aさんは自分の部屋ではなく、リビングで過ごす時間が長く、お気に入りのテレビ番組を一緒に見て欲しいとよく里親にお願いしていました。
里親と同じ空間にいることで安心感を得ているようでした。
そんなAさんでしたが、徐々に自分の部屋で過ごせるようになり、中学生になると、留守番をすることができるようになりました。
2つ目は、家族での会話を楽しめるようになったことです。
迎えた当初は、里親夫妻がAさんを迎える以前の話をしていると話題に入ることができず、Aさんは寂しさから泣いたり、機嫌を損ね怒ったりすることがありました。
里親宅での生活が長くなってきたことで、旅行に行った時のことや一緒にクイズ番組を見たことなど共通の思い出ができ、親子で話せる話題が増えてきたそうです。