子どもの背景を理解し長い目で成長を見守る


3つ目は、Aさんの様子に里親の心境が変化してきたことです。

里親はAさんに「約束を守ること、時間を守ることは大事だよ」と言ってきました。

Aさんもその時は「わかった」と返事をしていましたが、なかなか自分が言ったことを守れないことが多くありました。

最近、Aさんが友達と遊ぶ約束をした時に、友達が遅れて来たことがありました。

帰ってきたAさんが「約束は守らないといけないのに」と言っているのを聞いて、里親は以前言ったことがAさんの中に残っているのだとわかり、Aさんの変化を長い目で見られるようになってきたそうです。

「別々に生活していた時間が長い分、関係を深めていくには、それなりの時間がかかることを改めて実感している」と里親さんは話してくれました。

結果を急がず関係を築く

施設は集団生活であり、常に子どもや保育士がいて人の気配を感じられる環境にあります。

そのような環境に長くいると、Aさんのように、一人で過ごすことに不安を感じる子どもは多くいます。

この年齢ならできて当然と決めつけず、子どもそれぞれの背景から行動を理解して、接し方を考えることが必要です。

約束したことが守れないなど、大人の思うようにはならないことはたくさんあると思いますが、

子どもの様子を見て、少しずつでも変化を感じられたら、そのことを子どもに伝えてほしいと思います。

結果を急がず、ゆっくりと築いていく親子関係の方が、より安定したものになるはずです。

(2020年10月15日:はーもにい第137号より)