忘れもの


生きづらさを共に歩む

ある里親さんは、「子どもと一緒に、小学校、中学校、高校とずっと、家族で悩み続けてきました」と自らの体験を語っています。

小学校の低学年から、里親さんの家で暮らし始めたAちゃんは、人との関係を作ることが苦手でした。

家では里親さんに甘えをしっかり受け止めてもらい、Aちゃんなりの成長・発達をしていましたが、
学校では友達がなかなかできません。

それは苦しい状況ではありますが、私は里親さんの言葉を聞くたびに、
一緒に悩み苦しみ、応援してくれる家族がいたことを、心底よかったと思います。

里親さんはAちゃんを通して、周囲の子どもやおとな、学校に関与し続け、時には物を言い、Aちゃんの生きる方法、場所を一緒に探しました。

あなたはいい子だよとずっと言い続け、家族の中にはAちゃんの役割と居場所がありました。


子どもの人生にも苦しいことが多くあります。

何かの生きづらさを抱え、周囲の環境や制度とうまくいかない場合は特に、苦しい時が続きます。

でもそれは、どのような状態であれ、子どもが周囲の環境の中で生きようとしている証です。

困難にある時に、子どもと共に悩み、苦しみ、この世と格闘した道のりこそを愛おしく思って誇ってほしい。

そして、その経験と思いで人とつながり、通じ合うことができればと思います。

(2020年12月15日:はーもにい第138号より)