8年間の交流を通して築いた絆

【最後まで付き合っていきたい】
季節里親K夫妻からのお話
里父からのお話
子どもたちの力になりたい
私どもの家族は私たち夫妻と、31歳と28歳の息子2人の4人家族です。
長男は結婚して子どもも2人いますので、私たちは「じいじ」と「ばあば」ということです。
今、うちに来ている子どもとの交流が始まったのは、9歳(小学校4年生)の時でした。現在は高校2年生になっています。
私たちは季節里親なので、交流は単発的な形です。だから、実際は8年ほど経っているのですが、感覚的には3~4年という感じです。
そもそも季節里親を始めたきっかけですが、
長男が結婚して家を出て次男も20歳になり成人したので、親としての責任は一区切りついたと思う反面、これ以後、何となくこのまま歳をとって死んでいくのかなと思うと、何かしたいなという気持ちになりました。
丁度その頃、テレビで生まれたばかりの赤ちゃんを病院の前に置き去りにしたとか、電話ボックスの中に放置していたとか、食事を与えられなくて衰弱した子どもがいるとか、親に虐待されて保護された子どもがいるというニュースを見聞きすると、胸が締め付けられる思いがして、何とか子どもたちの力になれないかと思ったんです。
しかし、私は50歳を超えていましたので、体力的にしんどいという思いと、経済的に余裕があるわけでもないので、養子縁組は難しいと思いました。
そんな折、たまたま新聞でボランティア里親があることを知ったのです。その形ならできそうかなと思って、今回のようなボランティア里親の説明会に参加しました。息子たちも賛同してくれましたので季節里親を始めたわけです。
「阪神ファンの君は、えらい」
最初に児童養護施設を訪れ、施設長さんや職員の方にお会いして、その日はそのまま帰りました。
でも、子どもの方は職員から里親さんが来ると知らされていて、物陰からそっと見ていたらしいんです。
次にマッチングして、本人と話をしました。初めて会ったとき、彼は笑っていても緊張で顔が引きつっていました。普段は施設職員と学校の先生しか出会いがないので、それ以外の大人と話す機会はなかったんです。
職員さんから自己紹介をと言われたので「まず、君から教えてくれる」と振ったら、「えっ、ぼくから…」とビックリしていました。
私が「若い方からしゃべるのが普通やで」と言うと、「じゃ…」と教えてくれました。
私たちも自己紹介して話が進んでいっても、彼は笑顔が引きつって緊張しっぱなしだったので、彼が心を開いて話をしてくれるのか心配になりました。
続いて私が身を乗り出して、「これから大事なことを尋ねるので答えてくれるかな」と言うと、彼は驚いたように「えっ」と言い、職員の方も今頃急に何を言い出すのかという顔をされていました。
「実はな、野球はどこのファン?」と言うと、「なんやそれっ」とずっこけていました。
続けて「阪神ファン」と言ったので、「君はえらい。ええ子や。阪神ファンに悪い子はない。おっちゃんも阪神ファンや」と言ったら、にこっとしてくれました。
続けて「誰のファン」と聞くと「金本」と答えたので「ますますええ子や。一緒に応援できるな」と言うと、その後はなごやかに、いろいろしゃべってくれました。
私も週末里親を希望しています。
この記事を読んで、子どもにとって何気ない日常がとっても新鮮で楽しいことなんだと伝わってきました。
いつか、わたしの所に子どもさんが来てくれるご縁ができたら、わたしもこんな風に一緒に過ごせたらと思いました。
いろんな方のお話を聞いたり読んだりして、子どもがどんなことに戸惑ったり、不安を感じたり、喜んだり、安心するのか知っておくことは私自身の安心や心構えになりました。
こうして体験を話してくださる先輩里親さんに感謝です。