海外で和食の店を開くのが私の夢


親が私を産んだ理由を知りたい

聞き手
お兄ちゃんが先に「自分は養子だ」とあなたに言ったことはない?

まり
それはないです。自分が認めたくない時期だったのかもしれない。わからないですけど。私から直接聞いたこともないです。

聞き手
あなたがお母さんに何回も聞いたりしていて、お兄ちゃんも知りたいと思うようになったというようなことは?

まり
それは分かりません。生みの親について知りたいというのは今でも思います。特に思い入れがあるわけではないけど、自分の生まれた起源を知りたい。

聞き手
ルーツのこと?

まり
そう。ルーツ。
顔写真とかだけでもいいんだけど、どういう人から生まれてきたのかというのは興味がある。

聞き手
その知りたいという気持ちは親に言ったことある?

まり
しょっちゅうです。お母さんは「私があなたの立場であればそう思うと思うわ」って言ってる。
「どんな顔かなー」って。

あまり深刻な感じでなく普通の世間話みたいに話している。

聞き手
22歳になった今、どういう解釈をしている?

まり
自分の環境についてですか?もう22歳なので子どもじゃない。

いろんな事情があって子どもを手放してしまう手段をとってしまうんだろうなということが理解できないということはなくなりました。

子どものときは、「何でそんな無責任なことができるんやろう」って思ったこともあった。

自分がもし親になるなら絶対にそんな施設に預けるような親にはなりたくないと頑なに思ってきたんですけど、20歳すぎて「女の人でもたぶん事情がそれぞれあって、そうなることもあるんやろうな」と思えるようになったかな。

「なぜ自分が施設に入ったか」という理由は両親に聞いたことがない。
けどそこは知りたいですね。知ってショックを受けるというのは、たぶんないと思う。

聞き手 
そういうふうに言えるのは何でかな?

まり
今ならわかる気がする。産んだ母親の気持ちが。

いろんな状況があるかもしれないし、自分が幸せだから許せるというか、そういう風に思える余裕があると思う。

もし、自分が過酷な環境にいたり、養子になっても両親と合わなくて荒れたりしていたら、また違ったかもしれないですけど。なんで産もうと思ったのか、理由も聞いてみたい。

聞き手
中絶っていうこともあるよね

まり
そうそう。産んで育てるのが無理っていうのは親は産む前にわかるじゃないですか。

でも、なんで母親は私を産もうと思ったのか、とは思いますね。
そこだけは知りたいという思いは残っています。

聞き手
中絶せずに生んでくれたから今があるんやね。

まり
感謝しかないですね。恨むとかそういう気持ちはないです。
でも産んだ理由は知っておきたい。

聞き手
本当の理由がわかるかというのは難しいかもしれないけど、それぞれの経緯があったんでしょうね。

まり
産んで養子に出すという選択がベストだと思ったんでしょうね。

聞き手
お兄ちゃんとそんなことについて話することある?

まり
全くないです。兄は全く興味ないみたいですね。

「別に生みの親に会いたいとも思わない」と母づてに聞きました。

我が家は愛情にあふれている

聞き手
家族の中で覚えていることとか、家族の在り方はどうでしたか?

まり
ありのままというか、常に明るいですね。マイナスをプラスにするというか。

聞き手
全員が?

まり
特に母ですね。

何か失敗をしたら、その失敗したことを言うけど、そればっかりじゃなくて、「じゃあ次どうしようか」「こうなったけどどうしようか」って。

客観的にみててすごいなと思う。とても前向きですね。
尊敬しかないですね。今の両親には。特に母親には。

聞き手
お父さんは?

まり
お父さんもいい人やとは思いますよ。

でも母親とは一番接している時間が長いからよく話をする、人に対して愛情がすごい。
人に対してこうしてあげよう、ああしてあげようという気持ちが強い。

私と正反対。労力を惜しまない。
見返りを求めてるわけじゃなくて、してあげることが喜びみたい。

すごいなと思いますね。我が家は愛情にあふれています。

人をうちに呼ぶのが好きなので、昔から、家に近所のおばちゃんとかきてワイワイみんなでご飯食べたりすることが多い。
自分よりも年上の40、50代の人と話す機会が多かった。

自分にとってはプラスなことやったと思います。
だから年齢が上の人とも普通にしゃべれる。

同世代同士でもコミュニケーションがうまくできてないとか苦手という人もいるけど、私の場合はいい環境で育ったので、コミュニケーションはよくできる。