親になって、似てきたかな


いろんな家族がいて普通

聞き手
自分について理解のはじまりはいつごろだった?

あやこ
ものごごろついた頃かな?

聞き手
それは何歳くらいの時?

あやこ
ほんとに小さい時。小さい時からずっと知ってる気がするから、ものが理解できるようになったぐらいから、「お母さんのお腹からは生まれてないよ」みたいなことをずっと言われていたという感じですかね。同じ養子の弟も自分と同じ立場だから「ああそうなんや」で大きくなってきたから、いつごろ知ったのか境目がわかんない。ずっとそんな感じ。

聞き手
それ言われていかにもショックを受けたみたいなじゃなくて、自然に「ああそうなんや」って受け止めたまま?

あやこ
だからずっと知ってたみたいな感じがする。気づいた頃にはもう知っていて、それが当たり前になってるから、なんとも思ったことない。

聞き手
じゃあ、友達にはどうしてた?

あやこ
友達には、そういう話になった時は、ちらっと、「うちは、でも、血がつながらない親子で、ちがうし」って言ってたけど、友達も「ふーん」って感じやし、今時、いろんな家庭事情があるから、私の家庭も別に珍しいことでもない。

親が離婚した友達もいるし、離婚寸前の両親の友達もいるし、何人も親がかわってる友達もいるから、そう思うと、養子であっても今時、珍しくないかなって思う。

昔から家族ぐるみで仲良くしてた里親の友達もいるから、いろいろ家族によって事情はあるし、うちもそういうことだけで、むしろ、両親二人いてこどもがいるみたいな方が今珍らしいんかなって思ったりしてた。

聞き手
それくらい、離婚したり、家族のことで困ってるお友達がいるの?

あやこ
小学校になったら、クラスにいっぱい、そういう子がいて、「どこも大変やな」ってほんまにぼうっと思ってた。

聞き手
自分からなんか親にたずねたことはある?

あやこ
小さい頃に「生んだお母さんはどんな人?」とか、「どこにいるの?」とかはきいたかもしれない。ちょっとした疑問程度のことできいていて、「わからない」って言われたら、「ああそうか」くらいの気持ちだった。素朴な疑問って感じ。「弟はどこで生まれたん?」とか、「みんな各自出身が違うんだね、おもしろいね」くらいのことしか思ってなかった。

聞き手
だいたいものごとをそんなふうに捉えることが多いの?

あやこ
多いと思う。楽観的なんかな?うちの親からもそんなに深刻に言われたことない。だから、大きくなってはたち過ぎた時に、施設にいたときのアルバムとかいろんなもの見せられて、「もし、生みの親と連絡とりたいならなんとかできるかもしれないよ」とか言われたけど、「いや、別にいい」と思ったんです。今ごろ、はたちになって出してくるものでもないやろとか思った。

聞き手
隠してたの?

あやこ
たいしたもんじゃないと思った。母親は気にしてたんかなと思ったりした。

聞き手
お母さんはそれをあなたに伝える責任があると思ってるかも。

あやこ
でも、「伝えてくれなくても別にいいし」みたいな感じ。弟もそんな感じやった。